Friday, May 7, 2010

このあたりで話されている台湾語。

台湾語(台湾閩南語)に関する記事になるので、苦手な方はスルーしちゃってください。

私の奥さんの家族は台北市の後港墘の地元民です。このあたりの人は、みんな祖先が福建省の同安から来た人たちです。彼らの話す台湾語は、同安訛りの台湾語です。

台湾全国に同安人はいると思いますが、いまだに同安訛りの台湾語を話しているのは、淡水、蘆洲、台北市の後港墘、社子などに代々住んでいる人ぐらいでしょう。

台湾の閩南語は、大きく分けて「台湾普通訛り」と「泉州訛り」の2種類があって、台湾の教育部は最近、小学生に教える教材は前者を使うべきだ、と決めました。台湾のテレビで聞こえてくる「台語」はほとんどがこれです。どちらかというと高雄や屏東、台東の訛りに近いです。広い範囲で、ほとんど話し方が同じです。今の普通の台湾人が「標準的な台湾語だなあ」と感じるのがこれでしょう。

後者は内部にいろいろ種類が分かれていて、日本で売っている台湾語の教科書は、ほとんどこの中の「台北訛り」を使っています。台北訛りは、中国福建省アモイ市の閩南語とほとんどまったく同じです。キリスト教の牧師が、聖書を閩南語に訳したり辞書を作るときに使ったのがアモイ訛りです。昔の外国人はほとんどこの聖書を使って台湾語を勉強したので、日本の教科書も台北訛りなのでしょう。

ちなみに、現代の、専門家でない一般の台湾人はこういうことをあまり詳しく知らないので、台湾普通訛り以外の台湾語、つまり聞きなれない訛りを聞くと、すぐ「宜蘭訛り」だとか「鹿港訛り」だとかでたらめを言いますが、真に受けないでください。参考のために言っておくと、台湾で一番漳州の特徴を保持しているのが宜蘭訛りで、一番泉州の特徴を保持しているのが鹿港訛りです。


ではここで、私が住んでいる台北市後港墘の台湾語(同安訛り)が、台湾普通訛りと違うところを記しておきましょう。


同安訛りは泉州系なので、泉州系の特徴は一応全部備えています。たとえば「あなたはどこへ行きますか?」は、台湾普通なまりでは

「りべきとー?」ですが、

同安訛りでは

「るべくとー?」

になります。同じ原理で、豚も、お箸も、「てぃー」ではなく「とぅー」になります。


鶏は「けー」ではなくて「こえ」

火は「ほえ」ではなくて「へー」

本は「つぇー」ではなくて「つう」です。

数字の2は「じー」や「ぎー」ではなく、「りー」です。


次は、同安訛り独特の発音です。

普通、台湾語では、普通訛りでも、泉州訛りでも、「高い」とか、「県」というときは「こあん」といいますが、同安訛りでは「こぁぃん~」と鼻にかけていいます。すごく変でしょう。

だから、「台北県」は「たいぱっこぁぃん~」です。こんな言い方をする台湾人がいたら、間違いなく同安人です。


あとは、借りたものを「返す」というのを、普通台湾人は「ひん」とか「へん」というのですが、同安訛りなら、これを「はぃん~」と、これまた鼻にかけて言います。

「あんたに借りた本、返すね。」は、台湾普通訛りなら

「ごあかりちおえつぇ、ひんり。」ですが、

これを同安訛りで言うとどうなるんでしょうか?

「ごあかるちおえつう、はぃん~る。」

これが言えれば、あなたも今日から「在地人」!

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